「せん妄」とは?原因・症状・その時本人は?

よくあるトラブル

せん妄という言葉を聞いた事はありますか?健康な方はあまり聞いた事がないと思うのですが、せん妄というのは一種の幻覚のようなもので、入院中もしくは手術後などによく起こる症状です。

今回はせん妄を実体験をもとにご紹介していきます。

せん妄とは何か?

私は要介護2の叔母のお世話を時々しています。入院する退院する転院するという時は必ず私が付き添ってどこにでも連れていきます。その間のおしゃべりも担当しています。

過去にせん妄を起こしたのは2回です。せん妄はその都度違う妄想を抱くようです。レベルもあるようで過去2回のせん妄も1回目は軽く、2回目はかなり重い症状でした。

せん妄になると本人は「何をしたのか、何の話をしたのかわからない」ようで、その時の話をするとかなり驚きます。それもそのはず、まるで人が変わったようになってしまうからです。

ところでせん妄がどうして起こるのか、その原因についてお話ししたいと思います。あくまで私自身が見てきたことや医師や看護師に聞いたお話をもとにお話しします。

せん妄の原因

シチュエーションは人それぞれのようですが、大元の原因は「混乱」です。何らかのシチュエーションで混乱すると脳が妄想してしまい、錯乱したような状態になってしまうようです。

問題はシチュエーションです。叔母の場合は二回とも部屋を変わったことによる脳の錯覚でした。叔母は眼が見えません。見えないわけではないけれどほとんど見えない状態です。

前回はカテーテルの手術を行った後のことでした。もともと血が止まりにくい叔母はカテーテル手術の後で出血が止まらず集中治療室へ入りました。

処置を受けて自室へ戻るのではなく、経過観察のためにナースセンターのすぐそばの部屋へと移動しました。麻酔は部分的なものでした。

ところが目が見えにくい叔母は夜中に起きた時に部屋の様子が違うことに違和感を覚え脳が錯覚を起こしました。看護師さんを呼んで「脚が落ちてるんだけど」と繰り返します。

看護師さんが「落ちてませんよ」といっても数分後には呼び出すという感じ、そしてその都度「今何時?」と繰り返したそうです。

叔母の場合は「術後」「暗闇」「目が見えない」「音が違う」といったことが脳の錯覚を引き起こしたようです。

せん妄の症状について

せん妄の症状は人それぞれです。同じ人でも毎回同じリアクション?というわけではないようで、叔母の場合もそうでした。

2回目はつい最近です。転倒してしまった傷が悪化して皮膚が壊死するという状態になってしまったため、病院に入院することになりました。

手術を受けた後、なんと部屋を変わったのだそうです。移動したことは覚えているはずでしたが、麻酔(全身麻酔)だったようで、その夜からせん妄を発症。

今回の症状はひどかった。看護師さんにつかみかかる、自分で手を振り回して柵に手をぶつけて裂傷、看護師さんや医師に悪態をつく。

まるで人が変わったようになってしまいました。これも人によって違います。ちなみにその時のことを叔母に聞くと「全く覚えていない」そうでした。

せん妄と認知症の関係

入院する前に高齢者ということもあって、せん妄になる可能性についてお話がありました。恐らくどこの病院でもこの説明はするはずです。

叔母がせん妄になったことで心配になったので、看護師さんに聞いてみました。「せん妄が原因で認知症になることはありますか?」

すると、「無いとは言えない」そうで、それがきっかけで認知症の症状が増えていくこともあるとのことでした。因果関係はわかりませんが、数日で治るのでそれまでは心配いらないようです。

せん妄は高齢者の手術を伴う入院の時に起こりやすい

若い時に入院するからといって、病院でせん妄についての注意などは聞きませんが、高齢者の多くは入院する前にせん妄の説明を受けるようです。

どちらかというと高齢者の方が何かいきなり環境が変わったりすると、パニックを起こす事もあるようです。

もしせん妄を起こした場合はどのように対処すれば良いのかわからない方も多いと思うので、叔母のケースでお話していこうと思います。

せん妄になった時の対処法

最初のせん妄の時は話を聞いてあげるという感じです。否定しませんでした。相手は混乱して妄想が現実なんだと思っているので、あえて否定せずに「そうなの?」と話を聞いていました。

しばらくすると少しずつ戻っていきました。でもこれはコロナの前なので目の前にいるのが前提です。今回は面会謝絶なので大変でした。

今回の対応としては暴れるという行動が出たので、軽めに拘束させていただきますという連絡が入りました。それはもう驚いて電話で話させてくださいとお願いしました。

電話に出るといきなり看護師さんへの悪態、病院への不満などをぶちまけていました。これまで聞いたことがないようなとげとげしい言葉です。

ただほとんどの場合は少しずつ元に戻っていきます。これが原因で認知症になったらどうするの?と思っていたので安心しました。

気になるのがその時本人はどう思ったのかということです。そこで本人に聞いてみました。

せん妄体験談!叔母はその時こう思っていたらしい

長い病院の廊下を全自動の車いすで移動していたらしい叔母、病院の中には人がおらずずっとひたすら移動して人を探していたらしい。

その時音がしたので「すいませーん、水くださーい」と叫んだそうですが、叫ぶとシーンとするらしく、不安と焦りと怒りでパニックになっていたそうです。

その妄想の中ではご飯に虫が入れられたり、ご飯を口にもっていこうとすると手をはたかれて落とされてしまい、とにかくお腹が空いていたそうです。

さらに友達にも私にも電話ができず、電話を掴もうとすると看護師に取り上げられてしまったので、それも腹が立って寂しくて狂いそうだったそうな。

その時私が電話で話したことも忘れていたようでした。現実には看護師さんの顔を叩いたり、つかみかかろうとしたりしていたそうです。

看護師さんは慣れているので心配はいらない

電話で叔母と話をした後、看護師さんには「話を合わせておきましたのでよろしくお願いします」と伝えました。

看護師さんは高齢者のせん妄には慣れているらしく、刺激しないような対応をしていただきました。ただ、看護師さんに一言注意するならば、患者はちゃんとに看護師さんの会話を聞いているということ。

叔母は自分がおかしくなっている時にも看護師さんの会話は耳に入っていたようで、「この人せん妄で頭おかしくなっているから近寄らないで」なんて話していたそうです。

そのことが頭から離れなかったのか、その後、別の病院へ転院するまで(今日のことです)話し方、声の出し方が全く変わっていました。

もちろん普段透析をしている病院に移動したらいつもの話し方や声に戻っていました。とても良くしてもらったのですが、そのことが頭から離れず無意識に変わっていたのかもしれません。

というわけで、今回ご報告をしたのは入院中のせん妄という症状についてでした。多分経験したことがあるご家族の方も多いかと思いますが、何回経験しても慣れないものであること、そして人間の脳って不思議だなと感じた出来事だったのは間違いありません。

これから入院を予定している、特に手術を予定している高齢者のご家族がいらっしゃる方は、せん妄という症状が出ることもあるよ!というのを覚えていただけると「これか」と少し違った目で見られると思います。

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